きのうはたくさん雨が降ったね

「ねえ、かえるさん。」「かえるくん。」と、かえるくんは指を一本立てて訂正した。「ねえ、かえるくん、きのうはたくさん雨が降ったね。いろんなものが流されてしまったね。」

じしんがない

自転車のタイヤの空気が着々と減っている。空気を入れなくてはならないのだけれど、いつどこで入れればいいかがわからない。いや、近所の自転車屋さんの場所はもちろん把握しているのだけれど、いいタイミングがわからなくて、あと空気を入れるのにお金がかかるのが怖くて、行くことができない。でもこのままだと取り返しのつかないことになってしまう。

 

取り返しの、つかない、こと。

 

 

今日、壁に自分の頭をコツ、コツと打ち付ける少年に会った。

 

「お母さんに叱られた」らしい。来週会ったら褒めてあげよう。君はすごいのだ、と。壁に頭をコツコツしなくてはならないようなことは何もないのだ、と。

 

 

何年か前の自分はちょくちょく部屋の壁に頭をコツコツぶつけていた。軽くしか当てていないのに結構痛い。自分を痛めつけて反省したふりをさせるにはちょうどよいのだ。

 

 

みんなが帰った後、一人で少し、叫んだ。