なにしてもつまんないね
クッション抱えてうわめづかいでわたし
ぶどうひきちぎっておなじいえの中で
おなじ色のぬいぐるみならべたまま
かお見てなまえを呼び合いたいな
おまえ、かお、め、ひかってる
ものがたり必要だったね昨日
白いひかりだけ見えないね
鯛のほねぶっ刺したいな
プルタブはそのままに
うー、いやらしいな
右耳ひきちぎって
クラッカーの箱
叩き割ろうね
ぶどうの種
噛んでね
かぎは
そこ
ね
こ
こに
かざる
くちびる
さがそうよ
しわのばして
ひとつずつ花柄
飛び出しそうな服
いつからそこにいた
プラスチックだねひと
たねそこにそのままにね
ご満悦でおつかれさまです
左うでそのまま切り落として
おまえ、かお、め、ひかってる
ここで問題あなたのなまえは今日
昨日のものではありません、つまり
明日の北風には、十分気をつけること
破れたカーテンの裾で雨水飲まないでね
ワタリウムにて
唇をよこからのぞめばうるわしきかな赤々どくどくとハートになるひとの、あたまをひとつずつ本の角でこつんとやりたい。
(そのなかのひとりの本のカバーに描かれた二匹のカッパのいつか、かわいた皿をひとつずつ、こつんとやりたい)
木を見て森を見ずという患者の肺にこつん、が途切れず響くように、それがたしかに執りおこなわれるようにあなたの目がいたみをかかえている人間ぜんたいに思いを馳せる医者だ、あの、胸やせなかをとんとん、と叩く、あれはなんと言うのでしたっけ、、、、、、、、、(ひんやりというおもいめぐる)、、、、、、、、、、、まあ、それを、少しあてただけで、あとはデータを見ます、血糖値が少し高いですね、あとは基準値内ですよ、なんだか木、、、、、、だけを見ているのですね、
こつん、をやられたひとの、声がこちらにまで、どうかもう、どうかきこえてきませんように、ああちょっと、これはもう、感想。
そうかも。
夕焼けにゃんにゃん
今日地元の駅に着いたときに見た夕焼けは、どん引きするほどにきれいだった。
先週見た雨上がりの大きなおおきな虹も、どん引きするほどきれいだった。
なぜきれいなものを見るとどん引きしてしまうのだろう。
このどん引きを人に伝えたくて、メール画面を開いて気づく。
もしその人がその夕焼けを見ていなかったらどうしよう。
それどころか見ていたとしても、どん引きしていなかったらどうしよう。
どん引きしたのは僕だけかもしれない。
そう考えると怖くてたまらなくなって、心の中で大声で今日の夕焼けはどん引きするほどにきれいだったね!と叫びながら、「今日の僕の夕飯は野菜たっぷりのビーフンだよ!」とだけメールを送った。
リボン
あさの四ツ谷で片膝ついて転んだけれどかなしいかなみなつめたい一瞥くれるだけ、片膝ついたまま立ち上がるまで妙な間を設けてしまつたから呼吸ひとつふたつおいてから立ち上がる、はいはい女子はなべてリボンモチーフの好きなことよかったねばんざーい、とくに目につくリボンの髪どめまだ?なんもないから大丈夫大丈夫こつこつこつこつこんこつこつこん階段叩いてはじまる今日だ沸いた?やかんのお湯沸いた?まあ髪の間から耳の見えるのはたしかにあれだいいもんだねそそる、リボンの髪どめぶっちぎってあの耳の見えてる子の毛根にも透明の膜ついてるかなついてるといいなやかんのお湯かけようね。
こわかったことその1その2
最近こわかったことその1。授業中の教室におおきな蛾が飛んでいて、飛んでいるだけなら構わないけどわたしめがけて飛んできて、蛾の、アップがこわかった。
最近こわかったことその2。先週食堂の券売機の前で、男子学生が友人(男)に
「ケトル買えよ」って迫っていた、それも三回も、「ケトル買えよ」って言っててこわかった。しかも笑顔だった。その日の夜寝入りばな、声がこだましてこわかった。
「ケトルでもうけとるん?」ってききたかったけど、ぐっと黙って「たぬきうどん」のボタン押した。その日は「麺大盛り」も押した。ちょっと多かったけど、残さず食べた。
タクトを折ろう
きのうは高校の後輩の演奏を聴きに行って、とても上手でそれはとてもいい時間だったのだけどちょっとしたお芝居やオーケストラを聴きに、つまり舞台に立つひとをみに行くたびに、わたしは舞台が無防備であることにひどくどきどきする。
あんなんじゃ、つかつか舞台まで行って指揮者のタクトをぶん取ることだって、できるじゃないかと、どの舞台をみに行くときも飽きずに想像してどきどきする。この会場のなかで、だれかひとりくらい、実際にそんなことを思って自分を抑えきれなくなるひとも、いるんじゃないかと思うけれど、まだそんな場面に遭ったことはない。
むかし、両親にいまからわたしのすることみててと言い、コンロの火にティッシュをかざしティッシュを、燃やしたことがある。みて!みて!と言う間にみるみる火はティッシュを飲み、その後のことはおぼえていないけれど歌うひとや踊るひとや、舞台に上がるだれかをみに行くときには必ず、このことを思い出す。
「ものをこわしたり 子犬をけったり 花をむしったり
笑っちゃいけないときに笑って 笑っていいときに笑わないで
バラの枝にさわったあと だれかがなぐさめてくれるまで、いつまでも泣いたり
それが ジャーヌだ」 高野文子「私の知ってるあの子のこと」
じぶんがこれまで、上がった舞台でもだれか、早くここまで来てと、ほんとうは少し思っていた。
しゅーまんのまゆげも
抜けたまゆげがすごーく長くてびっくりした。
こんな長いまゆげをつけたまま歩いたりわらったりしていたのだ
さながらおじいさん
おじいさんのまゆげ及び耳毛?はどうしてあんなに長いのかと
電車で乗り合わせるおじいさんのそれをいつも見ている
年をとると
栄養がそこに集中する?
***
美容院で母がもらったというアメは星型で、「LOVE LAND]
と
書いてある。
味は、パパイヤ味。
***
にわかに
わたしは
炉端で
むきになって
あなたは
森の入口で
珍しいお話になる
明日、
待ちぶせるかりゅうど
たちも