きのうはたくさん雨が降ったね

「ねえ、かえるさん。」「かえるくん。」と、かえるくんは指を一本立てて訂正した。「ねえ、かえるくん、きのうはたくさん雨が降ったね。いろんなものが流されてしまったね。」

あしたこそ詩をかこう

部屋でごろ寝していて、はっと気づく。

わたしには、「カントク」と呼べるひとが、いない。

今までも、そしてこれからも。

 

おーいかんとく、みたこともない、かんとくー

わたしはここです、 きこえますか、いつも腕組みしてばっか、

こちらにも手を、振り返してください

おーい、と今、呼びかけることのできるひとを超えてわたしはただひとりの

 

*****

 

かんとくー

 

にっぽんいちの

 

かんとくー

 

*****

 

わたしにはだれのことばも(だれのことばもわたしには)

三行以上ひびかないから

 

あんかけ

とろとろ

ぴくるす

 

そして

 

かんとく。