きのうはたくさん雨が降ったね

「ねえ、かえるさん。」「かえるくん。」と、かえるくんは指を一本立てて訂正した。「ねえ、かえるくん、きのうはたくさん雨が降ったね。いろんなものが流されてしまったね。」

目を閉じること耳を塞ぐこと

かえるくん「雪のあるところに行きたいな」

そうか。じゃあ、そこでスキーやスノボをしようか。

「いや、スキーやスノボはしない。断固としてしない。」

ふぅむ。なるほど。しないか。じゃあ北海道とか。北海道。

「ほっかいどう」

そう。北海道。飛行機で行こう。

「ひこうき」

そうだよ。あっという間だよ。

「でもリヤカーが乗せられないよ」

リヤカー?あのリヤカーのことかな。

「リヤカーに、ぶかぶかのストレスを乗せるんだよ」

ぶかぶかのストレス?

「そう、ぶかぶかになってしまったストレスを全部乗せて、リヤカーで、雪のあるトコに行こう。」

ふぅむ。じゃあ、飛行機は難しそうだな。陸続きのところへ行かなくちゃ。新潟かな。

「にいがたに行こう。」

そうだね。じゃあ、2週間くらい有休をとる必要があるな。

「にいがたから小学校のメタセコイアは見える?」

ふぅむ、行ってみないとわからないけど、きっと見えるさ。あの小学校のメタセコイアはとっても大きいから。

「よかった」

・・・

僕は最後に嘘をついてしまった。

新潟からあの小学校のメタセコイアは見えない。

・・・

このまちで一番高い木のふもとぼくのぶんまでしとしとと泣く